河北潟湖沼研究所が農家と取り組む河北潟の水辺・田んぼの生物多様性を保全するお米
農事組合法人蓮だよりさんは、2018年から生きもの元気米に参加しました。土、人、環境にやさしい栽培方法で、健全で幸せなものづくりをしていきたいとの想いを抱いて農業に励んでいらっしゃます。 |
生産者:農事組合法人蓮だより
生きもの元気米生産地:金沢市才田町
石川県金沢市才田町東58(約4,687平方メートル)
2025年7月24日
生産農家の蓮だよりさんは、2024年より6月いっぱいは田んぼの水を落とさない夏季湛水に取り組んでくださいました。田んぼではトノサマガエルがよく見られるようになり、泥をすくうと赤とんぼのヤゴ(幼虫)がたくさんみられるようになりました。カエルやトンボが増え、この田んぼの生きもののつながりは、ずいぶん変わったように思います。広い田んぼですので、生態系への影響も大きく、生物多様性の保全に貢献している田んぼといえます。今年は初夏の田んぼに赤とんぼの幼虫がたくさんみられましたので、赤とんぼをこの田んぼのスターにえらびました。
生きもの元気米8年目をむかえました。今年も6月の終わりまで田んぼに水が張られるようになり、田んぼの生きものがにぎやかな様子でした。畦を歩いているとトノサマガエルがよく跳ねます。田んぼの泥をすくうと、赤とんぼの幼虫がたくさんみられるようになりました。長期間、広い田んぼに水が湛えられ、田んぼの生物多様性が守られています。ヒエなどの雑草がほとんどみられず、稲穂が垂れる田んぼの美しい風景が広がっていました。
<陸の生きもの>
分類 | 種名 | ||
鳥類 | |||
タカ目 | タカ科 | トビ | |
スズメ目 | ツバメ科 | ツバメ | |
ムクドリ科 | ムクドリ | ||
両生類 | |||
カエル目 | アマガエル科 | ニホンアマガエル | |
アカガエル科 | トノサマガエル(幼体) | ||
昆虫類 | |||
トンボ目 | サナエトンボ科 | ウチワヤンマ | |
トンボ科 | アキアカネ | ||
バッタ目 | バッタ科 | イナゴ属の一種(幼虫) | |
マダラバッタ | |||
ショウリョウバッタ | |||
キリギリス科 | ササキリ属の一種(幼虫) | ||
カメムシ目 | ウンカ科 | ヒメトビウンカ | |
ウンカ科の一種(幼虫) | |||
グンバイムシ科 | アワダチソウグンバイ | ||
カスミカメムシ科 | アカスジカスミカメ | ||
コウチュウ目 | オサムシ科 | コハンミョウ | |
ハエ目 | ニクバエ科 | ニクバエ科の一種 | |
アシナガバエ科 | アシナガバエ科の一種 | ||
ハエ亜目の一種(小型種) | |||
ユスリカ科 | ユスリカ科の一種 | ||
ガガンボ科 | ガガンボの一種 | ||
ハチ目 | コマユバチ科 | コマユバチ科の一種 | |
コガネコバチ科 | コガネコバチ科の一種 | ||
コバチの一種 | |||
アリ科 | トビイロシワアリ | ||
クモガタ類 | |||
クモ目 | アシナガグモ科 | アシナガグモ科の一種 | |
コガネグモ科 | ヨツボシショウジョウグモ | ||
コガネグモ科の一種 | |||
カニグモ科 | ハナグモ | ||
コモリグモ科 | コモリグモ科の一種 | ||
ハエトリグモ科 | オスクロハエトリ | ||
ミミズ類 | |||
ジュズイミミズ目 | ジュズイミミズ科 | ハッタミミズ |
<水の中の生きもの>
分類 | 種名 | ||
両生類 | |||
カエル目 | アマガエル科 | ニホンアマガエル(幼生) | |
アカガエル科 | トノサマガエル(幼生) | ||
昆虫類 | |||
トンボ目 | トンボ科 | アカネ属の一種(幼虫) | |
カメムシ目 | アメンボ科 | ヒメアメンボ | |
ミズムシ科 | コミズムシ属の一種 | ||
コウチュウ目 | ガムシ科 | ゴマフガムシ属の一種(成虫) | |
キイロヒラタガムシ | |||
ゲンゴロウ科 | チビゲンゴロウ | ||
ゾウムシ科 | イネミズゾウムシ | ||
巻貝類 | |||
ニナ目 | タニシ科 | ヒメタニシ | |
ヒル類 | |||
ヒル目 | イシビル科 | セスジビル | |
甲殻類 | |||
カイエビ目 | カイエビ科 | カイエビ |
確認種(年別) | |||||||||
科名 | 種名 | 2018 | 2019 | 2020 | 2021 | 2022 | 2023 | 2024 | 2025 |
シャジクモ | シャジクモ | 〇 | 〇 | ||||||
トクサ | スギナ | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 |
ドクダミ | ドクダミ | 〇 | |||||||
サトイモ | アオウキクサ | 〇 | 〇 | ||||||
オモダカ | オモダカ | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | |
ツユクサ | ツユクサ | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | ||||
イボクサ | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | ||
ミズアオイ | コナギ | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | |||
イグサ | イグサ | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | ||
クサイ | 〇 | ||||||||
カヤツリグサ | ホソミキンガヤツリ | 〇 | |||||||
アゼガヤツリ | 〇 | ||||||||
コゴメガヤツリ | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | ||
ヒンジガヤツリ | 〇 | ||||||||
カヤツリグサ | 〇 | ||||||||
テンツキ | 〇 | 〇 | |||||||
ヒデリコ | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | |||||
ホタルイ | 〇 | ||||||||
イヌホタルイ | 〇 | 〇 | 〇 | ||||||
イネ | ヌカススキ | 〇 | 〇 | ||||||
スズメノテッポウ | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | ||
メリケンカルカヤ | 〇 | 〇 | |||||||
コバンソウ | 〇 | 〇 | 〇 | ||||||
ヒメコバンソウ | 〇 | 〇 | 〇 | ||||||
ギョウギシバ | 〇 | ||||||||
メヒシバ | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | ||
アゼガヤ | 〇 | 〇 | 〇 | ||||||
ケイヌビエ | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | |||||
オヒシバ | 〇 | 〇 | |||||||
チガヤ | 〇 | ||||||||
サヤヌカグサ | 〇 | ||||||||
オギ | 〇 | ||||||||
スズメノカタビラ | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | ||||
オオスズメノカタビラ | 〇 | 〇 | 〇 | ||||||
ヒエガエリ | 〇 | 〇 | 〇 | ||||||
アキノエノコログサ | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | ||||
キンエノコロ | 〇 | 〇 | |||||||
ナギナタガヤ | 〇 | 〇 | |||||||
シバ | 〇 | ||||||||
コモチマンネングサ | 〇 | ||||||||
アカバナ | チョウジタデ | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | |
マメ | クサネム | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | |||
コメツブツメクサ | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | ||||
シロツメクサ | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | |
ヤハズエンドウ | 〇 | 〇 | 〇 | ||||||
バラ | ヘビイチゴ | 〇 | 〇 | 〇 | |||||
カタバミ | カタバミ | 〇 | 〇 | 〇 | |||||
オッタチカタバミ | 〇 | 〇 | 〇 | ||||||
エゾタチカタバミ | 〇 | ||||||||
トウダイグサ | エノキグサ | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | |||
エノキグサ | 〇 | ||||||||
コニシキソウ | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | |||
アカメガシワ | 〇 | ||||||||
オトギリソウ | コケオトギリ | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | ||
スミレ属の一種 | 〇 | ||||||||
アブラナ | タネツケバナ | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | ||||
スカシタゴボウ | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | ||
タデ | ヤナギタデ | 〇 | 〇 | 〇 | |||||
ボントクタデ | 〇 | ||||||||
ナデシコ | オランダミミナグサ | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | |
ツメクサ | 〇 | 〇 | |||||||
マンテマ | 〇 | 〇 | 〇 | ||||||
コハコベ | 〇 | 〇 | |||||||
ヒユ | シロザ | 〇 | |||||||
ザクロソウ | ザクロソウ | 〇 | |||||||
スベリヒユ | スベリヒユ | 〇 | 〇 | 〇 | |||||
サクラソウ | コナスビ | 〇 | |||||||
アカネ | ハシカグサ | 〇 | |||||||
フタバムグラ | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | |||
オオバコ | オオバコ | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | |||
オオカワヂシャ | 〇 | ||||||||
タチイヌノフグリ | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | ||||
オオイヌノフグリ | 〇 | 〇 | |||||||
アゼナ | アメリカアゼナ | 〇 | 〇 | 〇 | |||||
アゼナ | 〇 | ||||||||
ウリクサ | 〇 | ||||||||
シソ | トウバナ | 〇 | 〇 | 〇 | |||||
ホトケノザ | 〇 | ||||||||
ヒメオドリコソウ | 〇 | ||||||||
サギゴケ | トキワハゼ | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | ||
キク | ヨモギ | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | |
ノコンギク | 〇 | ||||||||
アメリカセンダングサ | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | |||||
トキンソウ | 〇 | 〇 | 〇 | ||||||
アメリカタカサブロウ | 〇 | 〇 | 〇 | ||||||
タカサブロウ | 〇 | 〇 | 〇 | ||||||
ヒメジョオン | 〇 | 〇 | |||||||
ヒメムカシヨモギ | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | |||||
ハルジオン | 〇 | 〇 | 〇 | ||||||
オオアレチノギク | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | ||||
ブタナ | 〇 | 〇 | |||||||
ニガナ | 〇 | 〇 | |||||||
アキノノゲシ | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | |
ヤブタビラコ | 〇 | ||||||||
ハハコグサ | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | |||||
ノボロギク | 〇 | ||||||||
セイタカアワダチソウ | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | ||
オニノゲシ | 〇 | 〇 | 〇 | ||||||
セイヨウタンポポ | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | ||||
オニタビラコ | 〇 | 〇 | |||||||
ウコギ | オオチドメ | 〇 | 〇 | 〇 | |||||
23 | 24 | 26 | 43 | 22 | 31 | 55 | 57 |
◎ネオニコチノイド系農薬不使用(苗にも使っていません)
◎ラジコンヘリによる殺虫剤の空中散布なし
◎畦の除草剤不使用
・田んぼの中で使用された農薬
除草剤/アッパレZ粒剤(使用時期:2025年4月26日)(使用量:1kg/10a)
・種子に使用された農薬
殺菌剤/テクリードCフロアブル(使用時期:2025年3月14日)
*この使用量は石川県の慣行に比べて、約8割少ない量です。
国産化成オール14号(使用時期2025年4月7日)(使用量:25kg/10a)
畑のカルシウム(使用時期2025年4月7日)(使用量:30kg/10a)
スーパーけい酸(使用時期:2025年6月19日)(使用量:20kg/10a)
BB有機入り追肥526号(使用時期2025年7月10日)(使用量:15kg/10a)
BB有機入り追肥526号(使用時期2025年7月18日)(使用量:20kg/10a)
コシヒカリ
2025年4月26日
1)昆虫スイーピング調査
2)底生生物調査
3)植物調査
*調査員 川原奈苗、南葉錬志郎(NPO法人河北潟湖沼研究所)、
蓮だよりの川端さんからのメッセージ
私共はこれまで、兼業農家として2haほどの面積で水稲栽培を行ってきました。 H19年より河北潟干拓地にて加賀れんこんの栽培を始めたことをきっかけに、自然との共存共栄を考えるようになり、農薬フリーの農業に取り組むようになりました。
取り組みを始めた農地では様々な生態系が見られるようになり、昔、地域の農地で見た風景を継続させていきたいという思いが、より一層強まっていきました。
今回、環境に配慮した生きもの元気米の栽培に携われるということで、私どもの活動を通して、環境保全に少しでもお役に立てるよう汗を流して頑張らせて頂ければと思います。