河北潟湖沼研究所が農家と取り組む河北潟の水辺・田んぼの生物多様性を保全するお米
このページでは、綿村裕さんの 2016年産 生きもの元気米について、以下の情報をご覧いただけます。
| 綿村さんは河北潟の南にある才田地域で長く米作りをされています。河北潟湖沼研究所が生きもの元気米の取り組みをはじめるときに、一番最初に参加すると言ってくださったのが綿村さんです。 どのような思いから参加するにいたったのか、お話をうかがいました。 | ![]() |
生産者:綿村 裕さん
生きもの元気米生産地:金沢市才田町
石川県金沢市才田町東63番地(約4,000平方メートル)
| ご家族で田植え中の綿村さんの田んぼ(5月5日) | 田植え中の綿村さんの田んぼ(5月5日) |
生きもの元気米4年目をむかえました。この田んぼでは、生きもの元気米をはじめる一年前から調査をしています。当初は畦の植物の種類が少なく、スギナが目立っていましたが、年々みられる種類が増え、ヘビイチゴやカタバミ、ヒメミズワラビなどもみられるようになりました。淡水産の巻貝のヒメタニシや二枚貝のドブシジミが多く、日本で一番長いハッタミミズが生息しています。ヒメガムシも確認されました。
1)昆虫スイーピング調査
2)底生生物調査
3)植物調査
*調査員 高橋奈苗(NPO法人河北潟湖沼研究所)
*生きもの調査の結果はこの下に田んぼの生きものリストとして表示しています。
同じ田んぼの2014年の調査結果はこちら、2015年の結果はこちらです。
| 科名 | 種名 |
| 鳥類 | |
| タカ科 | トビ |
| ツバメ科 | ツバメ |
| 両生類 | |
| アマガエル科 | ニホンアマガエル |
| アカガエル科 | トノサマガエル |
| 昆虫類 | |
| トンボ目 | ハラビロトンボ |
| シオカラトンボ | |
| クモ目 | アシナガグモのなかま |
| ハエトリグモのなかま | |
| バッタ目 | ショウリョウバッタ |
| ハネナガイナゴ | |
| コバネイナゴ | |
| カメムシ目 | ホソミドリウンカ |
| セジロウンカ | |
| トビイロウンカ | |
| ツマグロヨコバイ | |
| ハエ目 | ユスリカのなかま |
| ミナミヒメヒタラアブ | |
| ハモグリバエのなかま | |
| ハエのなかま(小型種) | |
| ハチ目 | ヒメバチのなかま |
| コバチのなかま | |
| ハチのなかま(小型種) | |
| コウチュウ目 | マメコガネ |
| ヒメカメノコテントウ |
| 科名 | 種名 |
| 昆虫類 | |
| コウチュウ目 | チビゲンゴロウ |
| ゴマフガムシ | |
| カメムシ目 | アメンボのなかま |
| 二枚貝類 | |
| ドブシジミ科 | ドブシジミ |
| 巻貝類 | |
| タニシ科 | ヒメタニシ |
| ミミズ類 | |
| イトミミズ科 | イトミミズのなかま |
| 甲殻類 | |
| カイエビ科 | カイエビ |
| 科名 | 種名 | 2013 | 2014 | 2015 | 2016 |
| シャジクモ | シャジクモ科の一種 | ○ | |||
| トクサ科 | スギナ | ○ | ○ | ○ | ○ |
| ドクダミ科 | ドクダミ | ||||
| サトイモ科 | ウキクサ | ○ | ○ | ||
| オモダカ科 | オモダカ | ○ | ○ | ○ | |
| ツユクサ科 | イボクサ | ○ | ○ | ||
| ミズアオイ科 | コナギ | ○ | ○ | ○ | |
| イグサ科 | イグサ | ○ | |||
| カヤツリグサ科 | チャガヤツリ | ○ | ○ | ||
| コゴメガヤツリ | ○ | ○ | ○ | ||
| カヤツリグサ | ○ | ○ | |||
| ヒデリコ | ○ | ○ | ○ | ○ | |
| ヒンジガヤツリ | ○ | ||||
| ホタルイ | ○ | ||||
| イネ科 | スズメノテッポウ | ○ | ○ | ○ | ○ |
| メヒシバ | ○ | ○ | ○ | ||
| アキメヒシバ | ○ | ||||
| イヌビエ | ○ | ○ | ○ | ||
| アゼガヤ | ○ | ○ | |||
| オオクサキビ | ○ | ||||
| オオアワガエリ | ○ | ||||
| スズメノカタビラ | ○ | ○ | ○ | ○ | |
| オオスズメノカタビラ | ○ | ○ | |||
| ヌメリグサ | ○ | ○ | |||
| アカバナ科 | チョウジタデ | ○ | ○ | ○ | |
| マメ科 | クサネム | ○ | ○ | ○ | ○ |
| コメツブツメクサ | ○ | ○ | |||
| シロツメクサ | ○ | ○ | ○ | ||
| ヤハズエンドウ | ○ | ○ | ○ | ||
| トウダイグサ科 | エノキグサ | ○ | ○ | ○ | ○ |
| コニシキソウ | ○ | ○ | |||
| オトギリソウ科 | コケオトギリ | ○ | ○ | ||
| アブラナ科 | タネツケバナ | ○ | |||
| スカシタゴボウ | ○ | ○ | ○ | ○ | |
| タデ科 | ヤナギタデ | ○ | ○ | ||
| ナデシコ科 | オランダミミナグサ | ○ | ○ | ○ | ○ |
| ヒユ科 | アカザ | ○ | |||
| オオバコ科 | オオバコ | ○ | ○ | ||
| タチイヌノフグリ | ○ | ○ | |||
| アゼナ科 | アメリカアゼナ | ○ | ○ | ○ | |
| サギゴケ科 | トキワハゼ | ○ | |||
| キク科 | アメリカセンダングサ | ○ | |||
| トキンソウ | ○ | ||||
| ベニバナボロギク | ○ | ||||
| タカサブロウ | ○ | ||||
| ヒメムカシヨモギ | ○ | ||||
| ヒメジョオン | ○ | ○ | ○ | ○ | |
| オオアレチノギク | ○ | ○ | ○ | ○ | |
| ニガナ | ○ | ○ | |||
| ハハコグサ | ○ | ○ | |||
| ノボロギク | ○ | ○ | |||
| セイタカアワダチソウ | ○ | ○ | ○ | ||
| オニノゲシ | ○ | ||||
| ノゲシ | ○ | ||||
| セイヨウタンポポ | ○ | ○ | |||
| セリ科 | セリ | ○ | |||
| ウキゴケ科 | イチョウウキゴケ | ○ | |||
| 25 | 31 | 36 | 31 |
ドニチS(使用時期:2016年5月14日)(使用量:1kg/10a)
モゲトン(使用時期:2016年5月29日)(使用料:1kg/10a)
*この使用量は石川県の慣行栽培で使用される農薬の使用回数に比べて、約6割少ない量です。
◎ネオニコチノイド系農薬不使用(苗にも使っていません)
◎ラジコンヘリによる殺虫剤の空中散布なし
◎畦の除草剤不使用
新コシ一発(使用時期:2016年5月5日)(使用量:40kg/10a)
BBパワフル大地 (使用時期:2016年3月26日)(使用量:20kg/10a)
コシヒカリ
2016年5月5日
綿村さんからのメッセージ
金沢市才田町は米づくりの文化を持つ町
今から5年ほど前までは、2ha程度の田んぼでお米を作っていました。才田の辺りは昔から農業が営まれてきた地域で、一軒あたり大体2ha程度の田んぼを持っています。当時は収穫したお米の仕上がりを楽しみにしていましたが、会社経営の傍らの収穫作業を続けるのが年々難しくなり、現在では40aを残し、残りの田んぼは貸し出してお米を作ってもらっています。
才田地域の文化をなくさないめに
現在は多くの方が、ほかの人に土地を貸して作ってもらっていますが、田んぼを維持するためには様々な費用がかかるため、土地を手放す人が多いのも現状です。このままでは才田の文化や景観が失われていく可能性がある中で、お米の価値を高め、健全な農業ができるよう将来につないでいきたいと思っていました。
人や生きものにやさしい農業で才田地域を活性化したい
そのような思いがある中で、1年前に私の田んぼの生きものを調べてもらう機会がありました。その結果、ほとんど生きものがいない事実を知り、正直ショックでした。
私が思うこれからの農業は、人や生きものに優しい農業です。これを実現する米づくりを広げていき、環境へ配慮したブランド米をつくり、地域を活性化したい、との思いから「生きもの元気米」の取り組みへの参加を決めました。